病棟業務と薬歴残業で帰宅は深夜。当直室に泊まる日もあり、「もう限界かもしれない」
残業は月50時間、通勤は往復4時間。家にいられる時間がほとんどない
退職→半年の休養→派遣薬剤師(年収700万円)→中小調剤薬局へ。年収500万円→900万円、残業は月10時間未満に
この記事は、いま病院薬剤師として働いていて「毎日が大変」「毎日つらい」「辞めたいけど、辞めていいのかな」と感じている方にはイメージがしやすいかもしれません。
私は新卒で関東の急性期病院に入職し、2年目の終わりに退職しました。その後、半年間の休養と派遣薬剤師を経て、今は地方の中小調剤薬局で管理薬剤師として働いています。結果だけ見れば「転職してよかった」と言える転職でしたが、決断するまでにはかなり悩みました。当時の自分と同じ状況にいる方の参考になるよう、数字も含めてできる限り正直に書きます。
結論:転職で何がどう変わったか
| 病院勤務(24〜25歳) | 派遣薬剤師(26歳) | 薬局勤務(27〜36歳) | |
|---|---|---|---|
| 年収 | 500万円くらい | 700万円くらい | 800〜900万円くらい |
| 残業 | 月50時間ほど | ほぼなし | 月10時間未満 |
| 通勤 | 往復4時間 | 5分 | 5分 |
先にお伝えしておくと、この数字はあくまで私個人の一例です。派遣の時給相場は時期によって大きく変わりますし、薬局の給与も会社や地域でかなり差があります。「必ずこうなる」という話ではなく、「こういうルートもある」という一つの症例として読んでください。
病院薬剤師2年目、「家に帰れない」生活
1年目は良かったんですが、きつかったのは2年目に入ってから。病棟業務が本格的に増え、日中は件数をこなすことで精一杯。服薬指導の記録は業務時間内に書ききれず、時間外に3時間ほどかけて書く毎日でした。
そこに追い打ちをかけたのが通勤です。実家からの通勤は往復4時間。帰宅してもまたすぐ家を出る生活で、家にいられる時間はほとんどありませんでした。あまりに遅くなった日は、当直室に泊まらせていただいたこともあります。いま振り返っても、体力的にギリギリの生活でした。
「辞めるか、一人暮らしをするか」で熟考した
劇的な事件があって辞めたわけではありませんでした。「いよいよ一人暮らしをしないと体力が持たない」という現実を前に、病院の近くに引っ越して続けるか、辞めるか。この二択をじっくり考えました。
一人暮らしをすれば通勤は解決します。でも、残業と業務量はそのままです。生活費をかけて、この働き方を続けたい職場なのか。そう考えたとき、私の答えは「辞める」でした。
もしあなたがいま同じように悩んでいるなら、「何が解決すれば続けられるのか」を一度分解してみることをおすすめします。通勤だけが問題なら引っ越しで解決するかもしれない。私の場合は、通勤時間を減らすことで解決になるとは思いませんでした。
半年間、何もしない期間を作った
退職後、私はすぐに転職活動を始めませんでした。半年ほど、ゆっくり遊んで過ごしました。(3ヶ月のつもりでしたが。いい経験でした。)
「ブランクが空くと不利になるのでは」と心配になる方も多いと思います。私の場合、この半年で消耗していた心と体が回復し、自然と「そろそろ働きたいな」というモチベーションが湧いてきました。焦って次を決めていたら、また同じような職場を選んでいたかもしれません。休む期間は、無駄ではありませんでした。
派遣薬剤師という選択。そして今の職場との出会い
働き始めるにあたって選んだのは、正社員ではなく派遣薬剤師でした。当時の派遣は時給換算では病院時代よりかなり高く、住宅も支給される条件。短期間でいろいろな職場を中から見られるのも、「働いてみないと職場はわからない」と痛感していた私には合っていました。
しばらく派遣で職場を渡り歩くつもりでした。ところが、1つ目の派遣先だった中小の調剤薬局が想像以上に良い職場で。人間関係も働き方も気に入り、そのまま就職して現在に至ります。
職場選びで私が一番大事だと思っているのは、職場内の環境(休憩や残業の実態)と人間関係です。そしてこれは、求人票では絶対にわかりません。派遣やエージェント経由の情報収集など、「中を知る手段」を持つことが、転職の失敗を減らす一番の近道だと思います。
病院→薬局の順番は「明らかに正解」だった
いま振り返って断言できるのは、病院を経験してから薬局に来た順番は明らかに良かった、ということです。
薬局には、病院の中の情報が想像以上に届きません。入院中のクリニカルパス、外来注射、ケモの混注、レジメン管理。こうした「病院の中で何が起きているか」を知っているかどうかで、薬局業務の考え方も、病院スタッフへの問い合わせや連携の仕方も変わります。病院時代の経験は、いまも毎日活きています。
だから、いま病院でつらい思いをしている方に伝えたいのは、「病院での経験は無駄にならない」ということです。辞めることは逃げではなく、積み上げた経験を次の場所で活かす選択でもあります。
いま「辞めたい」と思っているあなたへ
私の転職は、結果的に年収も生活も大きく改善しました。ただ、一番変わったのは数字ではなく、「家で過ごす時間がある」という当たり前の生活が戻ってきたことです。
いまつらい状況にいる方は、まず「何が解決すれば続けられるのか」を分解してみてください。そのうえで辞める選択をするなら、焦らなくて大丈夫です。休む期間があってもいい。派遣のような「試せる働き方」から始めてもいい。あなたのペースで、対症療法ではなく根本から効く選択をしてほしいと思います。